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「幸福な食卓」 瀬尾まいこ

その間の「ハチクロアニメ最終巻」と「蟲師アニメ1,2巻」と、
「小説・塗仏の宴 京極夏彦」と「小説・片想い 東野圭吾」の話を書きたいのだが、
今日はもうあと一個しか書けそうにないので、最新のこれ。これは今日書きたい。

映画の宣伝が始まってるし、主題歌がミスチルって言うのもかなり話題だろうから、
まずないだろうと思ったんだけど、奇跡的に縁があって借りられた。
そして今日、一気に読んでしまった。すごく良かったです。

淡々と見えても重い部分をひきずった、少し壊れた家族の物語なのだが、
端々ににじんでくる、ユーモアのセンスが素晴らしい。
別に誰も受けは狙っていないのに、何度も噴き出してしまった。こういうの大好きだ。
登場人物は原則としてみんな魅力的だけど、特に素晴らしいのが
ヒロインの彼氏の大浦くん。なんて愛すべき人物なのか、もう可愛くておかしくて最高。
ラスト近くに登場する彼の手紙が、この作品の魅力の半分を象徴すると思う。
それ自体がではなく、「悲しいのに笑えた。下手すぎて傑作だった。
そんなばかな、と突っ込みたくなるところが何回もあった」・・・ていう評価が。
下手すぎて傑作、は作品にはあてはまらんけども。とても上手だと思ったから。

だからこそ、ラストの大事件は、反則じゃないのかよ!と少し不満。
劇的で効果もインパクトも高いのだが、それだけに安直じゃないかと思ってしまった。
文句言っても仕方ないけど、こんなことはめったに起こらないのに、
小説ではあまりにも頻繁に起こりすぎるから、なんだか却って嘘くさく感じて引いてしまう。
もすこしなんか別のエピソードで幕引きできなかったのか、と、
とても気に入って読んでいただけに、少しだけ残念だった。
でも、それを入れても、この作品と作家さんに会えたことは良かった。
これもまた、未来に繋がる楽しみの一つになりそうです。
映画も楽しみ。と言っても、DVDになるのを待つだけですけども。
by michiko0604 | 2007-01-30 00:08 | | Trackback