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いまさらですが、何年か前に超話題になったビッグネーム。
メモにも書いた通り、最初の3冊を文庫で買ったが、
さすがにブームも一段落して図書館でも見かけるようになったので、
のこり半分、というか2巻と3巻は借りた。
ひさしぶりに、楽しい読書の時間を過ごした・・・のだが。うむ。

すいません、褒めなくて。

けっこう夢中で読んでるとき、夫が、
「大久保佳代子が光浦靖子の彼氏を取った(逆かも知れない)」
という主旨の話を嬉しそうにし始めて、ちょっと苛々しながら我慢して聞いてやったのだが、
やっと一段落したと思われたら、
「そのあと大久保は(光浦かもしれない)彼氏できないらしい」という主旨が続きそうになり、
どうでもよすぎて、耐えかねて、
「悪いけど、アタシその話興味ないわ」とぶった切り、
ああそう、すいませんね、と夫がややムッとして黙る、ということがありました。
夫はたぶん、その話がすごく面白かったんでしょう、だから話してくれようとしたんでしょうね。
でも、そういう笑えるツボのポイントが、けっこうズレてるんですよね・・。

なんでこんな話を入れるかというと、
夫婦の会話を犠牲にしてまで(ってほどのことでもないけど)読み続けたのに、
終わってみると、大久保と光浦の恋愛話と同じくらい、
天吾と青豆の物語は、私にとって関係ないものになってしまっていました、という、
わかりやすく残念な結論だったからです・・。

2巻までの豊潤さ、得難さ、透明さは、いつの間に褪せたのだろうか。
よくわからん。

青豆が非常階段を降りて月が二つある世界に迷い込んだように、
私も、どこかで切り替わって、香り高い1Q84から違う場所に落ち込んだようだ。
なんか独りよがりな、底浅い通俗小説に。こまった。

青豆の身体の変化。たぶんここからですね、ついて行けなくなった。
世界からこぼれ落ちました。脱落ということです。
納得行かなくて、すべての展開に厚みがなくなった。

おそらく天吾の子。間違いない。→なんでですか?
おそらくドウタには意思がない(うろ覚え)→なんでそんなこと知ってるんですか?
たぶん、とかおそらく、とか多くない?(byマチ@ハンター×ハンター)

そこいらへんを自然に納得することが出来なくなった。
そうなってくると、もうぜんぜんダメでした。

ふかえりは一番好きなキャラクターで、彼女に会いたくて読んでた時間もあったが、
終盤急速に存在感が薄くなっていった。
「美しい少女」「17歳の美しい少女」としつこく繰り返されるほどに、
なんだか紙と呪で出来た「式」みたいな、ただの薄気味悪いつくりものになっていく。

青豆との関係性を神聖化するためなのか?
ふかえりとのセックスについて、言い訳しすぎ。
性的なものではない、お互いそういうんではなかった、云々かんぬん。
大事なことだから2回言うとか、そういう類か?

3巻で一番魅力的だったキャラクターは牛河でしょうか、
唯一血の通った人間に思えて感情移入せざるを得なかった彼は、
たいへん無残な、苦しい死を迎える。
これは物語の成り行きだから、文句を言うようなことではないけれども、
不快な気持ちになったので、そこは書いておく。
コネのある殺人者は守られて生き延び、
自力で苦境を切り開こうとした市井の知恵者は、あえなく暴力に屈する。
何も殺さんでも(素)。
最後のあれが、一片の救いなのですか?彼の魂の一部は。
どれほどのもんだというんだ、空気さなぎが。
この時点で、空気さなぎを神聖視できていない自分は、脱落してんなぁと感じた。

NHKの集金人に、なんか恨みでもあるのか。
私だって別に、NHKの集金人が好きなわけじゃないが、
どっちかっていうと確かにヤだが、
彼らは彼らの仕事をしているのだから仕方ないでしょう。
何より、きちんとお金を払えば、彼らはもうイヤなことはしてこないですよ。
嫌がらせをすることが目的なんじゃないんだから。
信念を持って払わない人は、戦えばいいでしょう。それはそれで。
3巻の描写はひど過ぎるわ。

こうなるともう重箱の隅なんだけど、
個人的に、「つらい」「厳しい」「過酷」というニュアンスを、
「きつい」という言葉で表すのが、あんまり好きじゃないんです。
というか、違うな、嫌いではないけれども、あんまり端正な言葉だとは思ってない。
軽い、ふざけ気味、ネタ交じりみたいなときに、
「うわーキッツー」「それキツイねー」のように自分はつかうので、
真剣な場面で多用されることに違和感があったんだな。
1回や2回や3回だったら、形容詞のひとつとして流すけれども、
気にし始まるともう出てくるたびにイライラしてしまい、
最終的には10回くらい出て来たので(正確に数えてはいないが)、
それだけでもだいぶ気持ちが離れる原因のひとつになってしまった。
なんだろう、村上作品で、こんなところが引っかかった経験はなかった。
いつも、言葉の選び方もたいへん洗練されて感じたのに。
「語彙が貧弱」なんてかすめるような事態とは、対極だったのに。


ラストは、「良かったね」と自然に思いました。
読まなければ良かったというほどではない。

面白いかどうかわからないし、と思って読み始めたことを思えば、
充分面白かったです。わくわくさせられた時間も、たくさんあった。
タマルも好きでした。
ああいう人にしては、しゃべりすぎだけど。
ファンタジーだしね。

楽しかったのに、最後に薄くなってしまったことが残念、という話。
何もかも、計算された結果なら、それはそれで素晴らしい、脱帽、なのだが・・
読後感がいまいち、という結論は覆らないので、やっぱりいまいち。  
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by michiko0604 | 2013-02-13 01:00 | | Trackback | Comments(0)

殆ど予備知識なしで読み始めたので、
パラレル物なのも、ゲーム化されてたのも、
あるジャンルで、村上龍の最高傑作と言われていることも、後から知った。
「半島を出よ」にも通じる、緊迫とかヒロイズムとか、誠実さ、美しさ。
ゲーム化か・・(苦笑)。なるほど。そうかも。
中二病的なヲタのアンテナにかかるのかもしれないなぁ。
いささか無念ではありますが、私はこういうのが好きです。

「半島を出よ」でもそうだったけど、
鍛え抜かれたストイックな兵士たちの、描かれ方のカッコよさが半端ない。
あちらは北朝鮮の兵士だったけど、今回は、五分ずれた世界の日本。
昭和20年に降伏せず、国土を焼かれ、裂かれて満身創痍になりながら、
世界有数のゲリラ国家として、屈することなく戦い続ける日本。
際限のない自由を与えられて、とめどなく荒廃していく
現代日本へのアンチテーゼっていうか、警鐘なのかなと思う。
村上氏は、ホント日本が好きなんだなぁ、とも思う。
その感覚に共感する自分がいるから、そうか自分は右なんだなと思う(笑
ヲタであることは言うまでもないですけど。

ただ、まぁ、時代小説の美しさとも共通しますが、
制約の多い不自由な暮らしの緊張感や厳しさが、人の社会を整えることは確かですし、
そういう律に憧れ、理想を見出だすということがあるとしても、
やっぱり、そういう世界はヤなわけです。正直なところ。
こうしていかにも清明に見える世界であっても、
ついていけない人間は、非国民になって、生きるために恥辱にまみれる。
主人公の小田桐がそうかすめたように、私あたりも居場所はそこだろ。
それがいいのか悪いのか。駄目なのか仕方ないのか。

自由を享受したままで、秩序とか向上心とかを維持できるといいんですが。
これを読んだ中二病気味のヲタが、大勢、問題意識を持てれば良いんですが。
(笑)の世界になっちゃいますかね、やっぱり。

と、そういうマジメな読み方をせねばならぬわけではなくて、
恐怖と痛みと暴力と戦争とゲームでも良いわけです、勿論。
私はゲームをしないので恩恵ないですが、
ゲームのストーリーを読むことで、妙に中途半端だった小説のラストを、
補完してもらうことが出来たので、そこは良かったです。
つまり、とんでもない危機の中で生死不明な、オダギリとミズノの、その後。
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by michiko0604 | 2010-03-16 19:54 | | Trackback | Comments(0)

原作を読んで、楽しみに借りた映画です。
今思うと、私、この映画の公開時に、新聞で評を読んでました。
なんで興味を引かれたかと言うと、樋口可南子さんが好きなのと、
まぁ、あれですね、おばさん6人組と私、同じ名前だからです。
評のほうも、過激で万人向けではないけど面白い、と好意的で、
あ、見たいかな、と少し思ったんだけれども、何せ映画館に行く習慣がないので。
タイトルも忘れちゃってたんですが、こうして再びご縁がめぐって来ました。

で、映画ですが、ほぼ忠実に原作どおりでした。
原作の残虐描写だけ実写が怖かったが、さほどでなくて助かった。
笑っちゃう言い回しとか抜群の比喩とか、言葉遊びの難しいところは、
まぁ文章の力には勝てませんけど、かなり努力されてて良い感じ。
彼らのダメなところ、馬鹿っぽいところは、
再現されていたというより、少しだけ方向が違ってたかもしれないけど、
俳優さんが、それだけでだいぶかっこいいので仕方ないかも。

映画の方が良い、とはっきり思えたのは、冒頭の歌謡ショーです。
別に彼らは特別歌が好きってわけではなく、
「奇跡」と関連付けるため+何かを共有するための儀式として、
ああして人けのないところでセットつくってコスプレして歌うわけですが。
原作では「そうなんだ」と頭で考えてスルーしたような部分だったのに、
冒頭の「恋の季節」のインパクトが、なんか物凄かった。
「こいつらアホだ」という感覚はいきなりMAXなのに、
化粧した松田龍平(好きではないのに)の一本調子の歌、
馬鹿げたコスプレと振り付けでバックコーラスを務める安藤政信他が、
何故かどんどん魅力的に見えてくるという不思議。

泣きながら、小皿叩いて「チャンチキおけさ」を歌う場面も良いですが、
ここは原作も秀逸なので、甲乙つけがたし。

キャストについては、松田君の無表情ぶりはいつも苦手ですが、
イシハラとしては、この不気味さと得体の知れなさはアリ。
安藤政信はさすがです。狂気と美貌。
池内博之も良かったかな。のぶちんの根の健全なところが出てたし。
村田充さんは「GO」でも好きでしたが、伊勢谷友介に似てた。
他のお二人は、よくわかんなくてすみません。

樋口可南子は、きれいでした。
岸本加世子の劣化ぶりが、いっそ潔い。
鈴木砂羽って、重要な役だけど顔覚えられない。
細川ふみえと森尾由美はオーラがなくて、出てくると少し盛り下がる。
内田春菊は、どうしようもなくオバサンすぎて、ほかの人と一線を画してた。

そして勿論、原田芳雄怪演。突き抜けてて笑える。

ここだけ原作と違うラスト。
ネタバレですが、私はやっぱり、原作のほうがよかった。
その前に、ノブエが死んじゃった時点でショックだったし。
ノブエ、一番まともで好きだったのに。「半島を出よ」にも出てるのに。
「破壊による突破」シリーズだって、みんなラストは希望があったよ。
でもまぁ確かに、原作通りだと明らかに若者組の勝利かなと思うし、
先に手を出したのも若者組なんだから、理不尽かもですが。
最終章は「また逢う日まで」だし、あるいはあそこから、
イシハラは生き延びるのかもしれないですね。生きろイシハラ。
ちゃんと文集も作るんだ。

書き足りないですが、長くなりすぎたのでそろそろ・・。
この長文からもわかるとおり、愛と思い入れのこもったお気に入り作です。
どっちかって言うと、バカ映画の部類かも知れませんが。
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by michiko0604 | 2010-03-04 22:14 | 映画・TV | Trackback | Comments(0)

近未来(2011年)、北朝鮮の精鋭部隊9人が福岡に潜入、
福岡ドームでの開幕戦、観客3万人を人質に、独立を宣言。
経済的に疲弊し、国際社会で地位も凋落した無力な日本政府に為す術がなく、
何ひとつ手を打てないまま、空路第二陣500人の侵入を易々と許し、
福岡は制圧されてしまう。
さらに九州全土制圧を目指して12万人の船団が迫る中、
日本はこの大ピンチをはね返すことが出来るのか。

と、おおむねこのような話です。かね(ぇ?)。
どっちかと言うと悪ふざけだった「昭和歌謡」に比べて、
全編シリアスで、良く練られたしっかりがっつりの超大作。
でも、「昭和歌謡~」と、よく似てます。これも、破壊による突破でしょう。
ただ、とても良く出来た物語に上手に組み込まれていて、
特に下巻、見事なエンターテインメントになってます。
上巻は、政治小説、社会小説のような様相を呈しているのですが。

人質を取られれば、世論を恐れて手も足も出ない日本政府とか、
結局、東京には影響がないから、と九州を切り離しかける空気とか、
占領軍の資金として、資産のある犯罪者から巻き上げるやり方が、
庶民からは微妙な支持を受けるとか、ブラックで皮肉でリアル。

自分にとって、この本の大きな魅力の一つは、北朝鮮の人の描写。
このまま鵜呑みにするつもりではないですけれど、
今まで、何をどんな風に考えるのか全然掴めなかった、彼らの心や価値観が、
おぼろげに輪郭をなぞれそうな程度には、理解できそうな気がした。
と言っても、似通った外見をしていても、日本人とは発想も価値観も全然違う。
同じ風景を見て、同じ気持ちで同じものを目指すのには遠く、難しそうだった。
そもそも、日本人が正しくて彼らが間違ってるっていうわけでもない。
で、当たり前だけど、彼らにも大事なものがあり、愛する者がいる。
生活があり、習慣があり、子ども時代があり、来た道がある。
仲良くなれるとか分かり合えるとかいうことでなく、彼らを近しく感じられた。

もう一つは勿論、結果的に侵略者に立ち向かうことになる集団の魅力。
「昭和歌謡~」の生き残りのイシハラは、おじさんになり、
福岡で、社会に適応できない、犯罪傾向のある少年たちの面倒を見ている。
傾向っていうか、何人かの子は、すでに人を殺してる。
彼ら不適格者ぶりの描写が秀逸だと思う。
生い立ちが不幸すぎて病んでしまった子もいるが、
ただただそのように成ってしまった子もいる。本当にいるのだろうなと思う。
この話は良くできているので、彼らの破壊衝動がこんな風に、
結果としては日本全体、多数派社会全体への利益になっていて、
みんなにとって読みやすく共感しやすい成り行きなのは、それで良いと思います。
自分も結局は多数派の発想だから、迷わず彼らに気持ちを寄せられた。
登場人物が多すぎて、ひとりひとりには感情移入しきれないが、
それでもなお、遠くいとおしさを覚える場面はあった。
上手に生きることの出来なかった彼らの、大切なコミュニティと美しい時間。

終盤にほんのりと置かれた唯一のラブストーリーは、サービスし過ぎとも思うが、
まぁ、一筋の希望の例として、悪くはなかったです。
もうひとつ、老医師のエピソードも、出来すぎと思いつつ、やられた。
涙目になった。だから仕方ない、良かったです。

「昭和歌謡~」のほうがシンプルでピュアかもしれないが、
私には、非常に濃く得るものの多い、愛を感じる大傑作でした。
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by michiko0604 | 2010-01-31 23:18 | | Trackback | Comments(0)

図書館に単独ではなかったので、自選小説集4巻を借りる。
「コインロッカー・ベイビーズ」と「だいじょうぶマイフレンド」に挟まれ、
サブタイが「破壊による突破」。そうか、破壊による突破か。納得してみよう。

前後2作は、若い時に文庫を買って読み、たぶんまだ実家にある。
後者は並だが、前者は村上作品の中で一番好き。思い入れもある。
でも、年を取って保守的になってくると、村上作品は少し遠くなってたかな。

そんなわけで「昭和歌謡大全集」です。
「半島を出よ」につながっていなければ、このタイトルだけじゃ絶対読まなかったと思う。
悪趣味なブラックユーモアに満ちた、とんでもない話。でも面白かった。

若者6人グループと、おばさん6人組。何の接点もないはずの彼らの、復讐合戦。
それは別に友情のためではなく、些細なような深甚なようなプライドのため?
彼らは実は似た者同士、コミュニケーション能力が低く、帰属意識もなかった。
でもこの戦いの中で、どんどん、生き生きと元気になっていく。
一方で暴力はエスカレートして行って、普通にナイフから始まったものが、
ダスキンにくくりつけた出刃包丁からトカレフから、まさかのロケットランチャーを経て、
まさかまさかの結末の無茶苦茶さには、いやもう唖然茫然。
笑うしかないですよ。
作者も面白がってると思う。筋だけじゃなく文章の毒が半端ない。素晴らしい(笑)。
彼らが自分の言葉で「チャンチキおけさ」の哲学的な深層を語るシーンで、
めちゃくちゃ腹を抱えました、私は。

ちょっと引っかかったとこも、覚え書いておきます。時代を感じた部分。
ずっと「おばさん」と強調され、ネタにされ揶揄されてる彼女たちだけど、
まだ30代半ば過ぎ。今の時代じゃ、まだまだ現役な気がする。
それと、彼女達は最初の犯人をゲーセンから割り出し、子どもをはじくけど、
現在は悲しいことに、小中学生でも凶悪犯罪の犯人になり得る。
そこらへん、少々古い感じがしまして、仕方ないけど残念なような。
若者たちと共通する、閉塞と自己中傾向はイマドキもまさに全盛だけど。

それから個人的な残念、「半島を出よ」を先に読んだ以上、
彼らの誰が生き残るのか、あるいは残らないのかは既にネタバレだったこと。
そして映画のキャストを知ってしまっていたので、
若者たちはかっこいいし、おばさんたちは美しい人でイメージが出来ちゃって、
地味でしょぼくて不遇(普通の範囲内だけど)な彼らを、
先入観なくイメージするのが、わりと難しかったこと。
こっちは回避できる失敗だったから、これから気をつけよう。

今借りてる映画を返す時、これ借りたいと思います。15禁なのかー(笑)。
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by michiko0604 | 2010-01-19 01:04 | | Trackback | Comments(0)

うちで読んでる産経で、連載開始の時「あの『模倣犯』の続編」との触れ込み。
結構プッシュされてて、若干気を引かれたんだけど。
「模倣犯」は面白かったけど、思い入れがあるってほどではなかったし、
忘れてて途中から入ろうとしたとき「・・サイコメトラー・・」でなんだか断念。
そのうち完結して単行本になって、やはり人気作品で長く縁なく、で、今回。

「模倣犯」から9年後、傷を負ったルポライター前畑滋子の、再生の物語。
そう読むことができれば、この話は非の打ちどころがないのかも。
あれ以来事件ものが書けなくなった滋子のもとに、ある母親から、
交通事故で亡くなった息子が遺した絵の謎を解きたいという依頼。
滋子は僅かな手がかりを探って、少しずつ少しづつ、真実に迫って行く。

先にざっくり感想言っちゃえば、どんどん先に引っ張られて面白かったです。
「模倣犯」の名前なんか出さなければ、これ単体で充分傑作ってことで良いかと。
比べちゃうから、いろいろ文句付けたいところも出て来ちゃうのでは。
続編って言っても、殆ど模倣犯関係ないし。

引っかかったところを、羅列。

・死んだ子供の絵の謎は、つまりサイコメトラー、超能力でした。
 人の記憶が見える、幻視。京極堂シリーズの榎木津探偵。
 超常現象を違和感なく楽しむハードルは高いです。楽園は中途半端。

・前回犯人に利用されてトラウマになってるからか、展開がすごく慎重。
 子どもの絵が「幻視」だと証明するまでが長い。
 まぁ、あんまり急がれても引くけど、つまりは、
 時間をかけたわりに、得られたものがしょぼい。カタルシスが小さい。

・滋子の再生物語で感動するほど、みんな滋子のこと好きじゃないと思う。
 今回の事件は緊急性がなく(あったとしても滋子関係ない)、
 滋子は一介の取材者でしかないのに、強引で傲慢で独善的。
 マスコミの人ってこうなのね。知る権利を振りかざして人の秘密をこじ開ける。
 それが許容できないと不愉快。私はちょっと不快だった。

・「模倣犯」に関した謎、「山荘のワイン」はどうなったんですか?

・主題と思われる、身内に「怪物」が出ちゃったらどうしたら良いか、
 ていうのは、重いテーマで考えさせられましたが、
 間に合わずに既に娘を殺してしまった母親に対して、
 「茜さんを見ました」は、滋子、鬼だと思う。

こんなところですかね。
思ったより辛口になっちゃったけど、トータルではそれなりでしたよ、さすが。
そして、模倣犯をもう一度読みたくなった。
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by michiko0604 | 2009-12-14 20:39 | | Trackback | Comments(0)

春先だったか、姉が生協で本を買ってたんで、取りに来た時聞いてみたら、
「一瞬の風になれ」だった。私も読んだ、すごく良かった!としばし盛り上がる。
で、クラスに球技部の新キャプテンになる子がいるので(姉は教員なので)、
その子に、是非読め!と大プッシュしたら、はあ、読んでみます・・
ということになったらしい、のだが。そ、それは・・・
普段から本好きで習慣のある子ならいいけど、そうでもない子に上中下巻。。
大丈夫なのか?苦にならないか?スラムダンクでも読ませといたほうが良くないか?
・・などと一瞬不安が過ぎったものの、いやいや、私は素人だ。
姉はプロなんだからな、中坊のキャパは無限だしな、と思い直す。

前振りにすらなっていない遠さで恐縮です。
その話の流れで、「これも凄くいいよ!」と薦めてもらったのがコレ。
「風が強く吹いている」でした。
図書館になかったので後回しになっていたが、映画化を聞いて文庫を買ってみた。


一言で言えば、「こういうの大好き!」ってワケですよ。
大学の弱小陸上部が10人を寄せ集め、1年足らずの猛特訓で、
箱根駅伝出場を果たす。そんなことできるわけねぇだろ!!は百も承知ですが(笑
まぁまぁ、オハナシですから。

展開はベタベタのオーソドックス。
リーダーがいてエースがいて、ライバルがいてヤなヤツがいて、
猛特訓があって成績アップがあって、試練と挫折があり、再生がある。
漫画ですな。でもほら、こういうの大好きですから。
映画のキャストを見てから読み始めちゃったのがちょい失敗、イメージが。
でも、途中からはさほど気にならんくなった。
10人のキャラがきちんと立って、クライマックスに全員ドラマがある。
文体も読みやすく、ギャグレベルは並みだけど、トータル凄く面白かった。

で、二人の娘は早速映画を見てきたので、合わせてキャラ中心に一言感想。

王子・・美人過ぎ、だそう。電王に出てたらしい。

ムサ・・私、設定から吹いた。出ると笑える。知名度NO,1ソフトバンク。
    神童との静かな友情が素敵。

ジョージ&ジョータ・祥太慶太、年取ってむさくるしくなってた。
           タッチの頃は良かった、だそう。

神童・・最高、だそう。私はマジレンジャーで見かけた。ちりとてちんでも。
    背が高く穏やか童顔。流行りのイケメンじゃないけどいい感じ。
    余談だが、「魔法戦隊」だった。「本気戦隊」だと思ってた。

ユキ・・イメージぴったり!だそう。

ニコチャン・・桧山、影薄すぎ!何も内面描写がないじゃん、だそう。

キング・・私、一番印象薄かったんですが、一番笑いを取ってたらしい。

カケル・・一人だけ子どもみたいだったけど、走り方が超美人(笑
     バッテリーの巧ほどコミュニケーション能力は破綻してなくて、
     短気で単純で鈍感なだけなので、可愛い。

ハイジ・・てかハイジってなんだよ。
     メジャーの小出恵介ですが、まぁアリ、だそうでした。
     私は彼はのだめの真澄ちゃんから入ったので、
     普通の人に見えるまで時間がかかった。

あと、葉菜ちゃんは、ああいたねぇ、で、ニラは可愛かった。
メビウスはひたすらヤなヤツだったけど、見せ場多くて良かったんじゃない。

しかし、ラストシーンが頂けません。
全体としては凄く良かった、エピソード切られたのを引いても良かった。
でも、クライマックスがあまりにもベタ過ぎ。
ギリギリあり得たのが、あれであり得なくなった。
最後の涙が引っ込んだ。

・・・ということでしたので、私、レンタル待つかも知れませんわ。ヘタレ。
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by michiko0604 | 2009-11-03 19:03 | | Trackback | Comments(0)

前回読んだのは、ドラマ化の一報を聞いたときだったので、2年前になるのかな。
その時は「制限の多い環境の中で、もがきながら精一杯生きた女の一生」という、
全開の宮尾ワールド作品として、かつ端正な歴史小説として、興味深く読んだ。

今回の再読は、既にドラマが絶好調放映中で、
人物のイメージがそっちで固まってる状態だったので、
以前よりも非常に読みやすくなっていたところは利点といえるかな。
似たような人名がいっぱいで、前回は「誰だっけ」と思いながら流した部分もあったが、
今度は、多くは顔が浮かびますからね。やはりビジュアルの力は大きい。

原作とドラマは別物だから、雰囲気の違いはある程度当然。
原作どおりの篤姫では、ひとつの生き方の物語としてはそれで魅力的だけど、
国民的ドラマのヒロインとして多くの人に共感してもらうのは難しいだろう。
だからあんなふうに明るく元気にアレンジされてるのも当然で、むしろ好ましかった。
「鬼龍院花子の生涯」も、抑制が効いた温かみの少ない原作より、
やや情緒的な映画のほうが、甘いかも知れないけど好きだったし。

自分はもともと、大奥に関心も好意も勿論憧れもなくて、
あらためて緻密な描写を読んでいっても、どこまでもひたすら浪費としか思えず、
だから篤姫に、そんなに寄り添った感情移入ができなかったのは、仕方ない。
大奥の何千人もの女性たち、何やってるかといえば、
着飾ったり行事こなしたり、退屈したり、意地張り合って喧嘩したり、
天ぷらあげて火事出したりしてるだけで、湯水のように金を使ってる。
バカじゃないのかと失笑してしまう。誰の金だよ、と庶民の突っ込みをしてしまう。
嫁入り道具を運ぶのに、出発地から目的地まで列が途切れず何十日もかかったとか、
巨万の持参金のほかに、薩摩藩から毎月化粧料一千万円(億だったかしら)とか。
自慢なのかそれは。どうやって捻出したお金なのかわかってんですか。
密輸したり贋金つくったりして財政立て直した人は、責任とって自殺したんですよ。
下級武士は、内職したり、地面に落ちたお米を拾い集めたり、
友だちにアジの開きを差し入れてもらったりしてやっと暮らしてるんですよ。
そもそもは、農民が汗を流してやっとつくったお米を搾取した果てじゃないすか。

「大奥にかける費用で、砲台が幾つつくれることか」
「大奥に御台を迎えて殿に世継ぎが生まれても、治める国がなくなっとるわ」
・・というドラマでの斉昭公のセリフのほうが、よっぽど共感できます。
ラスト近くで、有力者になった西郷隆盛と初めて対面するとき、
「今は偉そうにしていても、元は薩摩のお庭番ふぜい」
と上から目線で相手を見下しまくる篤姫は、傲岸不遜で感じよくはない。
大奥は滅びるべき定めだったし、彼女たちの最後の奔走も、
結局は自分たちの保身のためとしか見えない。そして、それが当然だと思う。

それでも尚、小説の篤姫は、この時代に求められた見事なファーストレディーなんだろう。
深窓の令嬢としては確かに視野も広く、勉強家で気が利いて頭の回転も速く、
つまり賢く、洗練されていて容姿にも風格があって、堂々たるセレブ。
それこそが彼女の、また原作の、最大の魅力なんじゃないのかな。
ドラマの16話で批判的な記事を書いてしまった、斉昭公との対面でも、
「本人を会わせれば人柄がわかる」という斉彬さまの思惑は同じだったけど、
原作では、姑息な予習もシナリオも、勿論、あの無謀なスタンドプレイもなく、
ほんとうに実力で、まだ味方とは言えなかったうるさい斉昭公を感心させていた。
あの時求められていた賢さは、こういう奥ゆかしさを伴うものだったのじゃないか。
ここは大好きなエピソードだったので、それだけに点も辛くなったのだが。
宮尾さんの、冴えて厳しく抑制され洗練された筆致に似合う、
ほんとうにそこにいた女の人の物語だったと思うわけです。

ちょっと余談。
そんなわけで同じ筋を追っていても、ドラマとは全然違うのだけど、
再読ではちょっと気をつけて、尚五郎さんの姿を探してみました。
まぁ結局、彼の名前は見つからなかったんだけど、
もしかしてここ、この役目に彼が当てられるのかなって思う場面はあった。
終盤の、運命の皮肉ともいえる状況になるハズなので、
ラブ的に美しく切ないエピソードとして楽しみにできるかなーとヒソカに期待してたんだが、
彼らが今後ともけじめなくダラダラ会い続けるのなら、意味も半減なんだよなー。
まだ16話ショックが抜けていないので、ちょっぴりテンション低い文章になってしまいました。
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by michiko0604 | 2008-04-26 02:08 | | Trackback | Comments(0)

少し前に「3」も読んだんだけど、中途半端で、感想の書きようがなかった。
前編と後編の刊行間隔が一年というのはキツイ(笑

「時間鉱山」の完結編。
今までのシリーズとはちょっと毛色が違ってる感じ、
どちらかというとブレイブ・ストーリーに近いかな。RPGっぽい。
「時間鉱山」に迷い込み、現実社会で生死をさまよう若い男女と少年の3人の精神体を、
D.B仲間の捜索とサルベージに向かったシェン達が、成り行きで助ける話。
文章も読みやすいし設定もよく練られて、よくできた冒険活劇SF。です。
現代社会のひずみや悩みも盛り込まれて、ほどよく悲劇もスパイスに加わりつつ、
最後には前向きな生命賛歌に着地する、読んで楽しい物語ですね。

今回は、シリーズの大物、あるいはラスボス(?)になるのかもしれない、
シェンの母親、逃亡死刑囚のブラッディ・ローズも大活躍。って、これネタバレ?
DNA鑑定で、愛人の子でないとわかったときには、赤ん坊に関心をなくした彼女も、
息子が長ずるに及んで自分と瓜二つの容貌になってくると、
「分身」ととらえて執着を見せてくる、ここいらへんの皮肉っぷりは見事。

すごい長いシリーズになりそうですね。
何年か忘れておいて、ちょっとまとまってから思い出したほうが良いかも、
私のような読者は。
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by michiko0604 | 2007-10-25 01:08 | | Trackback | Comments(0)

世界観を飲み込んだあとなので、とても楽しく読めました。

異世界「テーラ」の設定が、すごく細かく決められていて、
どんどん新しい事実を提示されていくのもおもしろいし、
こちらの社会の、重かったり深かったりする問題が鋭く盛り込まれているのも、
ずっしりと読み応えがある。文章も、軽いようでいてよく練られてて素晴らしい!

でも、ちょっと残念ながら、この巻は、次の展開への導入、つなぎっぽい側面が強い。
勿論、二つのミッションの事例が紹介されて、それぞれおもしろい。
特に最初の「目撃者」は、これ一本で充分独り立ちできるくらいの魅力があるんだけど。

読み終えたときの「え、謎解けてないじゃん。このあとどうなるの!!?」
・・的なヒキは、一巻のときよりずっと強かったー。
でもこれは不満言ってもしょうがないですね、連続物の常套手段だもんね(苦笑

こうやって引っ張られて、今日3巻借りてきたからまた楽しめるんだけど。
責任とって、早く、そしてたくさん、続き書いてくださいよね、宮部先生!
という感じでしょうか。
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by michiko0604 | 2007-08-04 01:03 | | Trackback | Comments(0)