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珍しく先にDVD(映画)を観て、その後ずっと、図書館でご縁があるのを待っていた本。

どうしても映画と比べてしまうことになるが、
だいたい同じ筋立てなのに、ずいぶん印象が違うことにちょっとびっくり。
映画のコミカルさ、重い展開も時に「なめてんのかオイ(笑)」みたいな、
ギャグなのかミュージカルなのか、シュールな描写でさらりと笑わされるような部分はなく、
ひたすら真っ向勝負の、正統派の小説でした。
原作読んで映画を観た人のほうが、びっくりするんじゃなのかな、これは。
怒る人もいるかも・・・。でも、映画おもしろかったですよぅ。

そして原作も非常におもしろかった。空き時間を見つけて一気に読めた。
内容は勿論同じだから悲惨なのだけども、
松子は映画以上に何事に対しても真摯で、一生懸命で優秀で、
次から次へぎっしりと密度濃い事件をどんどん乗り越えていく。
いや、乗り越えていくっつか、転落していくんですけど、
映画よりも近しく感情移入ができたかな。映画はとにかく笑わされちゃったから。

松子を聖女と呼ぶ向きがあったことの理由も、原作を読んでよくわかった。
自分はそうは思わないけど、そう感じる人もあるだろうということ、
絶望し、疲弊しきった人の心の闇を照らすのは、許すことと愛することだという、
言い古されたクサイ説教も、自然と胸に届いてくるような、
きっちりと組み上げられた、説得力のある見事な小説でした。

映画もおもしろかったけど、ニュアンスは微妙に違っても同じ絶対値で、
小説もすばらしかったと思います。
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by michiko0604 | 2008-04-04 21:49 | | Trackback | Comments(0)

「ソウ」シリーズは、ネットの若い友達に強力に薦められていて、
「ホラー苦手でも映画苦手でも、絶対見る価値がある。 あれを見ないのは人生の損失」
とまで言い切るほどの大プッシュだったので、おいおいそこまで言うかよ、と苦笑しつつも、
勇気を振り絞って(大げさ)シリーズの1を借りて観てみた。
怖かった(笑)。てか、痛かった。
それでも、まぁ人生の損失を取り返したとまでは思わなかったけれども、
よく練られて仕掛けがたくさんあって、ラストシーンでは「え~~!」っていう
サプライズが確かにあったので、まぁおもしろかったといえるかもしんない。
「いや、それはないだろう!」・・・とも、ちょっぴり思いましたけど。
(そして、アマンダのゲームのルールは、ちょっと難易度低かったんじゃないか?とも・・)

そして1を見たからには2も、3も、とせっつかれたんだけど、
すいませんダメでした、2,3回借りたんだけど、ダメなんです、怖くて見られない。
観はじめればけっこう観ちゃうのかもしれないけど、始められない。
別の友だちに、「2は、いたたまれなさが増してるかも。それに痛さも」
・・・と聞いちゃったので、ますますなんだか臆してしまいまして。
一番評判のいい第一作を頑張って観たんだから、もういいにして、と、
お願いして勘弁してもらった。なんでお願いしないといけないんだよ(笑)。

前置きがまた無駄に長かったけど、それでも毎年新作やるほどの人気作だし、
なんだか負けたような気がして微妙に無念でいたところに、
本屋でなにげに検索かけてみたら小説版があったので、
比較的得意な活字から、リベンジの機会をねらってみることにしたわけです。

読みやすかったですね。耐え難いほどは、怖くも痛くもなかった。
文体は平明でシンプル、淡々とストーリーをこなしていくだけ。
無理に煽ったりタメたりオドかしたりはしない。
映画を観た人のおさらいとして書かれているのなら、これが正しいのでしょう。
1時間くらいでさくさく読み終わっちゃったので、コストパフォーマンス的に
映画のほうがいいかな、とか、もちろんそれだけではなく、
映画のほうが絶対おもしろいだろうな、と、はっきりわかりました(笑)。
筋を知らない状態で映画に臨んで、グロいのとか痛いのか怖いのとか、
そういう生理的なところにわくわくドキドキするのも好きな人には楽しいだろうし、
「なんとそうだったのか!」的な仕掛けも、びっくりして感心できたことだろう。
「観ないと人生の損失」・・・と言った友達の気持ちも、少しわかるような気がしました。
これを、活字から読んでしまうなんてもったいなかった。それは確かに。

でも、活字があってよかったです。
やっぱり、私には観られなかったんじゃないかなと思うし、
驚かされる場所を予習してしまった今になっても、怖くて見られる気がしません・・
マジヘタレ。
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by michiko0604 | 2007-12-13 01:58 | | Trackback | Comments(0)

図書館に「映像化作品を読んでみませんか」コーナーができていて、
その中にあったので借りてみた。山田詠美だったとは知らなかった。
柳楽くんとエリカ様が出る映画で、けっこう話題になってる、と、そっちからの情報のみ。

山田詠美は、若い頃に「ソウルミュージック・ラバーズオンリー」を読んで以来か。
久しぶりだったけど、昔の印象と少々変わったかな。
以前はもっと過激だったような気がする。刺激的で味が濃くて輪郭がくっきりしてた。
ビビットだった「山田詠美ブランド」とは、路線が少し離れたように思う。
でも、こういう話のほうが好み。際立つ個性は薄れていても、前はちょっとくどすぎた。
ファンの方には、あるいは食い足りないかも知れないんだけど。

概ね、ブルーカラーの領域にある職種の男性を中心に据えた、恋愛小説集。
とび職、清掃局職員、ガソリンスタンドのバイト、引越し屋、浄化槽清掃業、斎場職員。
肉体労働だったり、微妙に敬遠される職種だったり、その両方だったり、
あまり恋愛小説には馴染み深いとはいえないそれらの職業が、
敬意を持ってあつかわれ、ある種セクシュアルなまでに濃密に描写される。

それぞれ少しずつアブノーマルな、隠微だったり滑稽だったりする要素に味付けされて、
様々な三角関係の普遍的な痛みが、絶妙の名セリフに彩られて届いてくる。
まさに「風味絶佳」ですね。味でなく風味。決定的ではなく軽いけど、何か残ります。

冒頭「間食」の、得体の知れないとび仲間が気になった。どんな人なのか。
作品としては、「夕餉」が中でも特に完成度が高いと思う。密度も濃い。
「アトリエ」の狂気もよくできていて怖くて良い。「海の庭」は個人的に好き。
「春眠」は、悪くないんですけど、個人的には一番パス。無条件でキモイ。ごめん。
表題作の「風味絶佳」は、あっさりしてるぶん一番一般受けするんじゃないかな。

トータルで、けっこうお薦めの部類。映画も見てみようと思います。
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by michiko0604 | 2007-12-09 01:29 | | Trackback | Comments(0)