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原作を読んでから暫く経っていて、詳細を忘れてたのがちょうど良かったかも。
「アンザイレン」という言葉を忘れていたのに、耳にしたとき胸が熱くなった。
大切な言葉だと言うことだけは、まっすぐに届いてきたように思います。
でも、今このときは「映画」「小説」「TVドラマ」が全部記憶に新しいので、
いろいろ比べるような感想になっちゃいますね。仕方ない。
とりあえず羅列。

1985年の夏、日航ジャンボ機墜落事件の取材に奔走した地方新聞社の男たち、
熱くて長い七日間の攻防。もちろん大筋は同じなわけですが。

原作がとにかく濃くて、大勢の登場人物に少しずつドラマがあり、
エピソードも情報量もぎっしりなので、どれを拾って焦点を当てるかで、
けっこうニュアンスが変わりますね。見比べるとずいぶん違いが際立つ。
TVドラマのほうが、より原作に近い雰囲気。情緒的で、過ぎればあざとい。
映画は、より洗練されてて現代的で、甘さが抑えられてたような気がする。

映画版主演の悠木役・堤真一さんは、白いポロシャツが意外におしゃれでかっこよく、
家族はすでに離散状態に近く、家庭の描写がなくて生活感が希薄。
現代ならともかく、この時代に通訳で海外出張する奥さんなんて、かなり特別な人。
家庭生活を維持するために屈辱に耐える必要がないので、ますますかっこいい。
今現在の家族との確執よりも、悠木個人の心の闇としてトラウマが強調されてて、
そのぶん最後の家族再生に対する感動も薄目かもしれないけど、
よりシャープに綺麗にまとまめられたことも確かかも。
ここが一番、原作やTV版と違うところかもしれないですね。

準主役の佐山役は、原作のイメージからすると、どっちかっていうと
TV版の大森南朋さんのほうが、私個人では、近かった。ぴったりではないけど。
でも、映画版の堺雅人さんのキレキレな感じは出色だったので支持。
原作やTV版は、悠木との関係性ももっとベタベタして、良く言えば温かいのだけど、
映画版佐山は、つめたくてギラギラした知性を強く感じさせて怖く、そこが良かった。

かなり印象的だったのが、等々力部長。
TV版の岸辺一徳さんの、間延びしたようでいて油断できない、小ずるい感じ。
それでも最後には筋を通してくれる頼り甲斐が、つまり家族愛的なものに通じる。
映画版は遠藤憲一さんで、一見したところがすでに悪い人(笑
でも、いかにも悪人顔の彼が、意地悪やら恫喝やら揉めに揉めたトラブルを経て、
大事な局面でちょっとだけ寄ってくれる、そのちょっとだけ加減が良い。
悪い顔のほうが得かも。

で、大筋には影響ないんですけど、小説再読で気に止まったこと。
TV版では、設定自体が省かれていた悠木の母親の売春ですが、
それをいやらしく匂わせたり当てこすったり罵詈雑言に使ったりする、
販売局の伊東は、原作でも映画でもものすごく最低なオヤジとして描かれていて、
(TV版では、その背景がないので綿引勝彦さんは渋くて怖いだけですが)、
出てくると脂ぎった加齢臭と口臭まで漂ってきそうな汚らしさなわけですが、
その彼にさえ、ちゃんとドラマが用意されていて、その態度にも説得力が添えられる。
最後のころに解かれる小さな伏線だけど、こういうとこがまたうまいなと思い、
ちょっとグッと来たし、あざといなとも感じるわけなんですよな。

映画では、原作とTV版がクライマックスにもって来ている新聞の良心(か?)、
望月彩子さんの投書のエピソードを、思い切りよくバッサリと落としてる。
この部分も好き好きだと思いますが、私は、これはなくても良かった。
重く大きなテーマをここに持ってきて、物語に哲学性までも持たせるのも良いが、
正直言って原作読んだときも、私にはこのエピソードは少し違和感があった。
そもそもの望月くんの事故死からして、これを上司のせいにするか?
敵前逃亡とか以前に、こんなことで自殺する人の気持ちに共感できない。
いつまでも女の子が悠木を恨んでいるのも、気持ちはわかるけど逆恨みでしかない。
この話がなくても、スクープを落としたことだけでも、悠木の失脚は自然に納得できた。
必要ないというより、なんだか欲張りすぎに思えたんですわ。取ってつけたよう、とも。
だからここは、自分としては映画版の方がスッキリしてて好きですね。

しかし、この重要なエピソードを切ったことのつじつまあわせに、
神沢が殺されてしまったのは、文句があるわけじゃないですけど個人的にカナシイ。
原作初見のときにも書きましたが、自分は神沢が一番好きでした。
地獄を見て心のどこかが壊れてしまった彼は、
コントロールを失った大号泣の後に、魔のクライマーズ・ハイ(だよね?)を克服して、
それらを吸収し再生して、本物の記者に成長していく、ハズだったのに。
映画では、望月記者の挫折と狂気を背負わされる形で事故死してしまう。
映画は映画としてのまとまりがあったので諦めますが、やはりここは原作が好き。
TV版では、玉置記者のエピソードが背負わされ、やはり再生の場面はないので、
この部分に一番感動した私は少数派だったのかなぁ、とちょっと残念かな。

事故原因の大スクープ、最大のクライマックス。
何回読んでも、見ても、「なんで載せないのか」と思う。やっちゃえよ、と。
これが通っちゃうと、また違う話になってしまうから文句言ってもしょうがないけど、
ここがうまく行ったら、もっとずっと胸のすく、気持ちいい話になるのにね。
隅々では甘いけど、やっぱりトータルではだいたいは苦い。
なんでここを抜かないのか、その理由付けは物語のリアリティとしても肝だろうから、
映画もTVもそれぞれかなり工夫してました。双方ギリギリな感じです。

映画では娘の存在もないので、最後の最後の家族向け泣かせシーンが
成立しませんでした。ここも、原作ファンとしては好き好きかもだけど、
私は、まぁ、これでいいかな。ベタつかないこの映画らしくて。
安西燐太郎も、映画とTVじゃ対極みたいなキャスティングでしたが、
小沢征悦さん、ちょっとかっこよすぎですね。でも良いです。
安西は、TVの赤井秀和さんのほうが、私は好きですな。
というか、映画で一番ダメダメに感じたのが、安西役の高島政宏さん。
だって、冒頭の一番大事な掴みのシーンなのに、
何言ってるのかわかんないんですもん。一瞬視聴を諦めかけたほどダメ。私的には。

というような、比較的クールなつくりだった映画で、唯一直球で涙腺に来たのは、
あれはちょっと反則ですよね。最後に佐山が読み上げた、被災者の遺書です。
守るべき家族がいない悠木に、社会人の責任としてでなく記者の誇りで、
退職を思いとどまらせる杭とするのでした。泣ける場面でもクール(謎

というわけで思いつくままの羅列メモになっちゃいましたが、
まだ言い尽くせてはいないなぁ。暫くしつこく推敲するかもです。
どっちかというと映画寄りの感想になっちゃってるかもですが、
小説も映画も、どっちもそれぞれ手ごたえ十分の面白さです。
TV版も悪くないです。良い意味でいかにもNHKドラマ的で、
手堅く上質にまとまっています。ちょっとなんか画面が垢抜けないけど。
自分にとって大好きで大切な素材だということを特記して、今日は寝る。
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by michiko0604 | 2009-02-06 01:43 | 映画 | Trackback | Comments(0)

幻の処女作だったそうだ。長く単行本化されなかったらしい。

味付けも内容も、めちゃくちゃ濃かった。満艦飾というか大盤振る舞いというか。
盛りだくさんを越えて、詰め込みすぎなんじゃ・・と思ったくらい。
このネタとトリックと登場人物、上手く分ければ長編3本分くらいになるんじゃん?
でも、これらを惜しげもなく使ってしまっても全く大丈夫なくらい、
この人は滾々とアイデアが湧き出してくるんだろうなぁ。
あんなにもたくさんの短編を書いて、それがどれもハズレなしというのは驚異。
その天才の原点、堪能させていただきました。

15年前、自殺として処理された女教師の転落死が、
時効前日に、他殺の疑い濃厚という告発がなされる。
当時、3人の高校生が計画した「ルパン作戦」とあの三億円事件まで絡み合って、
数々の謎が解き明かされていく長い一日の物語。

山のような細かい伏線が、どんどん張られてはどんどん解かれていく。
当時の高校生の一人、喜多が、一応主人公といえるんだろうけど、
べらぼうな数の登場人物に、少しずつでも全員ドラマが添えられていて、
その多彩な芸の細かさには全くもって脱帽するばかり。
いや、これはちょっと類型すぎなんじゃ・・とか、ちょっと都合よすぎ・・・とか、
若干、読んでて恥ずかしくなった「おいおい」な部分もあったんだが、
筋立てがにぎやかなので、忙しくて細かいことに突っ込んでいられない(笑)。
だからもう、いいでしょうそこらへんはそういうことで・・と納得させられちゃう。

洗練、というわけには行きませんが、
大衆娯楽小説のツボを押さえたエンターテインメント。おもしろかったです。
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by michiko0604 | 2008-02-02 23:45 | | Trackback | Comments(0)

横山作品は、短編の方がより威力を発揮するとは思うが、
久々な長編の今作も、読み応え充分で当たりでした。
読んでる時間が楽しく、先が気になって、次に読める時間が楽しみ、という幸せな日々。

阪神大震災が起きたその日、700キロ離れたN県警で起こった内輪の激震。
キャリアの本部長と5人の部長、その家族たちが、保身と私利私欲、
それぞれの個人的な事情や嗜好を複雑に絡み合わせて、
ひとりの課長の失踪の真相を追っていくお話。
「クライマーズ・ハイ」の構成とちょっと似ているようでいて、
あんなふうに硬派ではなく、清明でもなく、かっこよくもない。
そして、大震災の話は背景ですらなく、殆ど関係ないという点でも大きな相違。
次々に視点が変わっていくので、主人公が誰、とは特定しづらいんだけど、
組織の中に、まともな人は一握りしかいないのね、みたいな、
ちょっと誇張されすぎて滑稽なほどに、みんなズルくてセコくてかっこ悪い。
だから感情移入はしづらいかも知れないですね。ヒーローはいない。
それでも、この膨大なページ数を飽きずに読まされてしまうというのも、作者の力かと。

警察組織内の力関係的な描写は、いつもながら詳細でおもしろかった。
キャリアと準キャリ、叩き上げノンキャリとの微妙な反目とか、
同じ部長でも、警務部が一番偉くて刑事は花形で、交通が一番下だとか(笑)。
殊更に類型的に書かれているから、これも主題のひとつなんでしょうよね。

登場人物が多い分、小さなドラマもみっしり詰まっているので、
中には、ちょっと泣かせてくれるシーンもあったり、
最後には、やはり人の良心や正義が勝つかもな、的な光明もほの見えて、
読後感もまずまず、いろいろとたっぷり楽しませてもらえた一冊。
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by michiko0604 | 2007-11-07 00:39 | | Trackback | Comments(0)

書店の煽り文句の通り、「常勝・横山秀夫」。短編の名手・本領発揮の6本。

いや、これもすごいですよ。
登場してすぐに、3Dで浮かび上がるかのような見事な人物描写と、
残酷なくらい鮮やかに切り取られる、人生の一断面。何段階も用意された仕掛け。
言葉は悪いが「時間潰し」が目的ならば至上です。これ、誉めてますので!
引っ張られて、あっという間に読まされてしまいます。

個人的には最初の3本が、より読み応えあった。後半3本も勿論悪くはないけど。
「看守眼」は、あんまり仕事に情熱を持てない若い事務員と、
とうとう刑事になれなかった老看守が、難航している事件の真相を突き止める話。
事件の概要までは大体予想できたんだけど、最後に落ちにやられた。

「自伝」は、将来の展望が見えなくなった、あまり若くないフリーライターの、
さもしさや惨めさがすっごいリアルで、それが最後の落とし穴につながるわけなんだけど。
浅ましい希望が潰えたあとに、主人公が自分の名を初めて正しく呟くラストが、
とにかくお見事でしたね。こんなふうに淡い光明を示して、読後感を整えるとは。感服。

「口癖」は、主人公が「おかあさん」だったので、かなり身につまされました。ヤバいくらい。
自分の子に害をなすように見えた子どもは、やっぱり嫌いになるだろうし、
意識するだろうし、勝った負けたと思ってしまうかもしれないな、と。
女の人の暮らしの話って、胸が焼けるくらい生々しく濃密になる。
でもそれも、、ちょっと痛い思いはししても、自分の手の中の幸福を見つめさせてもくれる。

後半の3編、「午前五時の侵入者」「静かな家」「秘書課の男」も、充分おもしろいです。
「及第点」のはるか上ですね。これも、人に薦められる本です。
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by michiko0604 | 2007-08-04 00:49 | | Trackback | Comments(2)

この前木更津キャッツを借りたとき、一緒にこの映画も借りたんだけど、
例によって、見ないでいるうちに返す日が来てしまった。
その日にちょうど本が借りられて、無理して観るより読んでからもう一度借りようと思い。
今に至る。

うーん。ものすごくオーソドックスな戦時物でした。
敗色濃厚な時期の、せっぱつまって突っ走ったあまりにもやけくそな作戦、
かの有名な神風特攻隊の海軍バージョン、人間魚雷「回天」のお話。
中学校の読書感想文の課題図書にどうでしょう、ってくらい、
わかりやすくて読みやすく、よくまとまった端正な物語。

頑張っていた野球や仲間との友情、残していく恋人、家族への思い。
いろいろ、若者の青春ドラマのツボを抑えて悪くはないのだが、
横山作品的には、特筆することはないように思う。
もともと「回天」を後世に伝えるためのドキュメンタリーに、
なんか、いかにも後から考えて、とってつけてみました、みたいな人間ドラマ。
展開がありきたりなんですよぅ。人物も類型的だし。
なのに彼女の「お嫁さんにして下さい」は唐突だし。いや、悪くはないんですけど。
「高校野球なのに、背番号18!?」とか、
「敗戦間際の煮詰まった時期なのに、軍の中で敵国語絶叫!?」とか、
もしかしたら正しいのかもしれないけど、なんだか細部がすごく納得行かなくて、
「これ嘘話なんじゃね?」的な気分が抜けないまま、最後まで行っちゃいました。
つまり入り込みきれなかった。ちょっとダメな読者でしたね。

でもま、読みながら、「あー、伊勢谷友介、絶対北さんだ」とか思い浮かべるのは
結構楽しかったです。ひねりとか付加価値を求めなければ、おもしろいと思う。

そういうわけで、リベンジで今日またDVDも借りてみたので、
今度こそちゃんと見て、また感想をあげてみよう。
それによっては、もっと評価があがるかもしれないし。
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by michiko0604 | 2007-06-03 00:04 | | Trackback | Comments(0)

七編の連作短編集とも、七章から成る長編とも、どちらとも解釈できそうだけど。
今まで読んできた横山作品とは、ちょっと趣が違うように感じた。

ひとつには、ファンタジーだということ。今まで、超常現象はゼロだったんに。
それから、一種の純愛小説でもあること、
そして主人公が謎にかっこつけてて生活感がないこと、かしら。

重松清と共通の雰囲気がある、という意見を読んだことがあったけど、
この作品は確かに、それを強く感じた。そういう家族物語でもある。

主人公は、「ノビカベ」と呼ばれるプロの泥棒、真壁修一。
下手打って捕まって、服役して出てきたばかり。
深夜寝静まった家に入る泥棒を、「ノビ」って言うんだって。
15年前に19歳で死んだ双子の弟の魂が脳内に宿っていて、会話ができる。
思い込みの一種か?と思ったらそうではなく、弟は抜群の記憶力で兄さんを助ける。
ふたりはかつて一人の女性を争ったことがあって・・・みたいな。
つまりはファンタジーだと思うしかない。
その分、仕掛けとかオチは、いつもよりも脇が甘いような気がするんですけど。

横山作品でファンタジーか、という戸惑いはあったのだが、
2、3回すごくわかりやすいベタな展開のところで泣かされてしまった。困りますねー。
それはまさに重松清っぽい泣かせどころのツボでした。
重松も好きなので、悪くはなかったです。横山作品的に、カナデスケールで中程度。

ううー「隠し剣」シリーズのことも書こうと思ってたんだけど眠い、眠くてだめだ。
もうまぶたが落ちそうなので、、また近いうちに。おやすみなさい。
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by michiko0604 | 2007-05-14 00:11 | | Trackback | Comments(2)

小説「真相」 横山秀夫

前回の「深追い」よりも重い感じの、短編5本。殺人事件だからかな。
と言っても、事件の謎解きよりも、それにまつわる人の心の闇が主題なのか?
難しくはないし、どんどん引き込まれて読みやすく、文句なくおもしろい。

どれもそれぞれ読みどころがあるけど、一番印象に残ったのは「18番ホール」。
ちょうど地元で選挙があったばかりで、みんな選挙なんか何が楽しくて立つのか、
当選すればまだいいけど、落ちたらどうなるのか、みたいな素朴な疑問を感じてたので
ちょっとだけタイムリーでもあった。
主人公がどんどん追い詰められていく様子が、ベタなんだけどリアルで、
緊迫してドキドキさせられた。良質の2時間ドラマですね(笑
オチは微妙に強引なのだが、ああーそう来たか、さすが!という満足度は充分。

次が「花輪の海」ですかね、強いて挙げれば。
いくつかひねりが入って比較的先が読みにくかったのと、ラストに救いがあったから。
「真相」もそうなんだけど、途中で大体筋がわかっちゃったので。

いずれにしても相変わらず名手でらっしゃいます。
人にも安心してお薦めできますな。
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by michiko0604 | 2007-05-09 23:58 | | Trackback | Comments(0)

職場である警察署と官舎が同じ敷地内にある、公私の区別があんまりつかない、
みんな赴任したくない架空の「三ツ鐘署」が舞台の、7つの短編。

さすが熟練の手になる、珠玉の名品。ハズレなし。
そんなにでかい事件は起こらない。
切なかったりかわいそうだったり、痛ましかったりはするが、
結局最後には「いい話」として〆られると思います。

一番印象的だったのは「仕返し」でしょうか。
管内のホームレスの死と警察官の保身、
近すぎる官舎での、親の職位差とこども同士の息苦しいつきあい、いじめ。
閉ざされるひとつの道と、それでも守ろうと願う、一番大事なもの。
がんばれお父さん。

ほかのも全部、それなりに山がありオチがあって楽しめます。
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by michiko0604 | 2007-04-21 19:00 | | Trackback | Comments(0)

警察の、人事担当官のエリート警視を座標軸に置いた連作短編集。
人事が主題のひとつになっていて、また新しい味わいでおもしろかった。

表題作は松本清張賞を取っているそう。
松本清張氏は、若い頃に流行って結構読んだのだけど
やっぱり、隙がなくて骨太だったという印象が残ってますな。
で、この作品がどうだったかって言うと、いつもどおりいろいろ仕掛けがあって
一筋縄でいかないところがよかったのだが、うーん。やっぱり。
「偶然かよ!?」っていうのがね。ちょっとね。評価8掛けですかね。

「顔」の前編みたいなのが入ってて、ちょっとなつかしい感じで嬉しいのだが、
オチがわかっちゃってるミステリー短編ってつまんねえなぁ。
でもがんばれ七尾さん。女性問題炸裂(違)。

D県警の二渡さん、しょっぱなの表題作では必死で情けなくてかわいいですが、
視点の変わる後の作品では、たいへんかっこいいジョーカーとして、
みんなにおそれられております。そういうものなのかもしれない。
そのあたりは、ちょっと好きかも。見方考え方?

ああ、きょうはまたちょっとよっぱで、無責任な書き散らしかー。
日本酒「一品」でほろほろですわ。気分良いのでよし。
やわらか戦車見て寝よう。オヤスミナサイ☆
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by michiko0604 | 2007-04-05 00:10 | | Trackback | Comments(0)

小説「顔」 横山秀夫

似顔絵担当の若い婦警さんが主役の、連作短編集。

いかん、この書き方からして偏見か?七尾さんに叱られてしまうだろうか。

どちらかというと小品だと思うが、ちゃんと横山作品らしく、
ひとつの事件にいくつも仕掛けがあって楽しめる。
強行捜査だけではない、警察組織の地味な小ネタもいろいろ。
でも、どうしても読後感は軽くなった。
若い女性が主役だったからなんだろうか?偏見ではないと思うが。
脇が甘いし、ちょっと青臭い。主人公はあれこれ悩むが、なんか薄い。
つまり甘い。情緒的すぎる。
いつもそれ以外の勢いに押されて隠れている欠点がクローズアップされた感じがした。

偉そうなこと言ってすいません。
なんというか、充分おもしろかったし楽しんだし読みやすかったんですが、
ただ時間を過ごしただけで、あんまり何も残らなかったんですよね。
だから中の下。自分的に。好きなので、点が辛くなりました。
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by michiko0604 | 2007-03-28 00:08 | | Trackback | Comments(0)