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小説「白夜行」「片想い」 東野圭吾

去年ドラマ化されて、かなり話題になった気配の作品。
そちらの方は一回も見なかったんだけど、図書館ではチェックするようにしてた。
約一年経って落ち着いたらしく、ご縁がありました。

いや、さすが、すっごいおもしろかったですよ。ぐいぐい読まされてしまった。
謀略とトリック満載、エピソード大盤振る舞い、めっちゃ贅沢なつくりの内容。
ふんだんにばら撒かれた伏線が、まぁ最後には収束するわけだけども
一回ごと、忘れるほど通り過ぎちゃう前に、軽く謎解きしてくれてるのもいいですね。
ここまでぎっしりと中身の詰まった作品、久しぶりに読んだかも。
人気の高い作家さんだけど、これまでは「それほどまでにか?」という疑問符ついたが、
これは確かに読み応え充分で素晴らしかったです。納得しました。

ちょっと先入観ってか、誤解があったかも知れないですな。
ミステリーの筋立ての中で泣かせる、感動させる種類の作家サンなのかと。
作風は多彩らしいので、読んでいくうちにはそんなようなのもあるかもしれないが、
これを読む限り、そっち方面にベタである必要性はないなぁ、
そんなんでなくても、別次元で充分に名作だと脱帽させられましたよ。
途中で、若いときによく読んでいた森村誠一さんを思い出してた。
それよりは多少ウェットだけど、手法の見事さに感心させられ具合が、ちょい似てる。

細かいとこでは、雪穂さんかわいそうなんだけど、やってることがいくらなんでもひどすぎて、
ちょっとこれは何かしら報いがあるべきじゃないのか、と厳しい気持ちになってしまったが、
彼女はあのまま、無事に生き延びてしまうんでしょうかね。
主役二人の真情の描写が皆無に近い原作に比べて、
ドラマはだいぶわかりやすいつくりだったみたいで、同じ筋でも印象は違うっぽい。
借りて観てみようというまでの愛は盛り上がってないので、観ないで終わるかもだが、
こちらも、なんかの拍子があったら(謎)観てみようかな。強力に薦められるとか。

ついでのような付記ですが、「片想い」もその前に読みました。性同一性障害。
えーと、普通におもしろかったですね、情報量が多くて、展開もいろいろで。
イロモノ的な扱いでなく、難しい題材だと思うけど、きちんと誠意持って丁寧に描かれてて、
方向性っていうか、理想の共存への一筋の光明というか、うーん違うな(笑)、
まぁ、形だけ変えても解決しない、みたいな問題提起(これも違うかー)?
なんにしても、ちょっと考えさせられましたかね。頭やわらかくしなきゃ、くらいには。
名作かっていうと、普通だと思いますけど(すいません)悪くはないですよね。
なぜか、アーシュラ・ル・グィンの「闇の左手」を一瞬思い出した。
ほんの少ししか共通項ないのですが。そして「闇の左手」は大名作だと思ってますが。
すべからく個人的に。
by michiko0604 | 2007-02-04 01:29 | | Trackback