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小説「失はれる物語」 乙一

最初から2、3作を読んでる間中、なんとなく座りの悪い思いをしてました。
一言で言えば「これは、ジュニア小説なのか?」って感じですかね。
お話それぞれに、ちゃんと設定があり物語があり、それなりのオチがあるのだが、
浮かんだ言葉をそのまま書けば「子供だまし・・?」の空気がずっと抜けなかった。
なんか微妙に入りきれず、違和感と当惑を持ったまま読み進んでしまい、
最後の「マリアの指」だけは、頁数もあったしミステリー的に引っ張られる感があって
ちゃんと練られた読み応えのある内容だったけれども。

あとがきを読んで、こういう風に愕然としたのは初めて。
ある意味類型的なまでに印象どおりで、「マリアの指」だけが「GOTH」直後の書き下ろし、
それ以外は「ライトノベル」と呼ばれる形態で発表されたものだそうでした。
そして私は、いろんな方向から凹みました。

ひとつには「ライトノベル」はたまには読むことがあるし、偏見はないつもりだったのに、
心構えしだいで、自分の中で無意識にはじいてしまう領域があったのか?ってこと。

それと、作者の言葉として「ライトノベルを読まない客層に読んで欲しい」的なのがあって、
つまり、偏見なく読む機会さえあれば損はさせない、とも解釈できるのだが、
私は乙一さんの思惑には応えられなかったのか、みたいなのと。

私が物足りなく読んでしまった話の中には、事前に少し情報を仕入れた中で、
代表作として読んでみたいと思って期待していた作品集と、かぶってるものもあったこと。

つまりトータルすれば根っこは同じで、私自身に、もはや「乙一」を理解し、
味わいつくせるだけのみずみずしい感性が欠けているのか?みたいなガッカリ感が、
「凹んだ」という結論に帰結してしまったんですよね・・・。

という寂しい読後感になってしまったので、払拭できるかどうか、
もう少し乙一作品追ってみます。リベンジ。
by michiko0604 | 2007-02-17 00:00 | | Trackback