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DVD「半落ち」

それが最終評価かは別として、泣きました。はい。おかげさまで(?)。

前半は、整理はされてるけど、概ね原作どおりに進んだ模様。
クライマックスが、映画独自の展開で別の盛り上がり方をしている。
これがどうなのかは人それぞれだと思うが、自分はまあ、許容します、程度かな。
原作の方が良かったが、映画はこれで仕方がないのだろう。
改めて考えると、すごい難しいテーマだったんだな、と。

裁判官のエピソードが比較的大きいのは、バランス取るために必要だったからか。
原作では、ボケたお父さんの介護は、日常的には奥さんに任せて別居してるので、
正論を言っても、ちょっときれいごとじゃないかと思うところもあったし、
だからこそ奥さんの生々しい告白のインパクトが大きく、揺すぶられるものも大だったが、
そのぶん、アルツ患者の安楽死に結局肯定の方向に幾らか針が振れた感じもした。

映画では、実際に同居していて、主導は奥さんのほうにあるにしても、
常に実情を目の当たりにして介護を分担している裁判官だったから、
そんなんで激務こなせるのかという疑問はかすかに残るものの、
正論を言っても重みが違ったのは確かだった。
結論は危なくて出せないが、提供される材料としてはフェアだったかもしれない。
ただ、吉岡くんという人は、実年齢的には合致してるのかもしれないが、
全然大人に見えなくて違和感がでかかった。声も若くて一人だけ少年のよう。
すごい浮いた感じがして感情移入できなかったのは残念。

根っこは通じてるのかもしれないが、連続少女暴行魔の扱いは、少しだけ原作と違う。
ほんの僅かな違い、というか描写されてないだけで同じなのかもしれないが。
でもそれは少し不満だった。
映画では、農薬飲んで死線をさまよう犯人の、原作では出なかった母親が来て
「このまま静かに死なせてやってください、あの子は自分で罪を償おうとしてるんだから」
とか言って泣き崩れる。そして結局犯人は死んでしまう。
でも原作では、鬼畜の所業をしておきながら、死ぬことで逃げようとすることを批判し、
絶対に死なせない、生き恥を晒して罪を償わせてやる、と
志木刑事が激しく決意する描写があって、私はそこが大変気に入っている。
映画でニュアンスを変えるのには、時間の制約もつくる人の意見や解釈もあるだろうが、
この部分は、自分的には断然原作派です。

原作は、終章の最後の1ページでクライマックスに達する。
こんなうまく運ぶわけない、いくらいい子だって、この局面でこの言葉は出まい、と
嘘くささもMAXではあるが、何がどうだろうとこの瞬間の感動は脊髄反射に近い。
最後の最後に、そこでとうとう梶さんは完落ちするのだと思うが、
そういう意味では、映画の梶さんは最後まで完落ちしない。
するのかもしれないが、てかするんだろうが、はっきりはしない。
最後までかっこよくすかしたまんまの梶さんでございました。
映画としては、とりあえず可。良い映画でした。

でもやっぱり原作の方が良かったです。
by michiko0604 | 2007-03-14 00:05 | 映画・TV | Trackback