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小説「影踏み」 横山秀夫

七編の連作短編集とも、七章から成る長編とも、どちらとも解釈できそうだけど。
今まで読んできた横山作品とは、ちょっと趣が違うように感じた。

ひとつには、ファンタジーだということ。今まで、超常現象はゼロだったんに。
それから、一種の純愛小説でもあること、
そして主人公が謎にかっこつけてて生活感がないこと、かしら。

重松清と共通の雰囲気がある、という意見を読んだことがあったけど、
この作品は確かに、それを強く感じた。そういう家族物語でもある。

主人公は、「ノビカベ」と呼ばれるプロの泥棒、真壁修一。
下手打って捕まって、服役して出てきたばかり。
深夜寝静まった家に入る泥棒を、「ノビ」って言うんだって。
15年前に19歳で死んだ双子の弟の魂が脳内に宿っていて、会話ができる。
思い込みの一種か?と思ったらそうではなく、弟は抜群の記憶力で兄さんを助ける。
ふたりはかつて一人の女性を争ったことがあって・・・みたいな。
つまりはファンタジーだと思うしかない。
その分、仕掛けとかオチは、いつもよりも脇が甘いような気がするんですけど。

横山作品でファンタジーか、という戸惑いはあったのだが、
2、3回すごくわかりやすいベタな展開のところで泣かされてしまった。困りますねー。
それはまさに重松清っぽい泣かせどころのツボでした。
重松も好きなので、悪くはなかったです。横山作品的に、カナデスケールで中程度。

ううー「隠し剣」シリーズのことも書こうと思ってたんだけど眠い、眠くてだめだ。
もうまぶたが落ちそうなので、、また近いうちに。おやすみなさい。
by michiko0604 | 2007-05-14 00:11 | | Trackback