人気ブログランキング | 話題のタグを見る

物語のように

少し年下の、同じ主婦の友人ととりとめのないおしゃべりをしていて、
若い頃、一番つらかった、もしくは切なかった失恋ってどれだろ?って話になった。
それで、友人が話してくれた話。

「中学一年のとき。

 クラスで一番勉強できる男の子だったんだけど、続けてふたり、家族が死んじゃったのね。
 まずお母さんが長い闘病の末に死んじゃって、そのあといくらもしないで、
 喘息か心臓か、発作の起きる病気だったお姉ちゃんが、お風呂で死んじゃったの。

 それでその子、ものすごく落ち込んじゃって、少し変になっちゃって、
 学校には何とか来るんだけど、机に呆然と座ってるだけで、なんにもしないの。
 勉強も、全然できなくなっちゃったの。一番だったのに。
 それが心配で気になって、あんまり考えてたから好きになっちゃったのね。

 何か力になれないかな、せめて、勉強くらいみんなと一緒にできるようにって考えて、
 私、それから毎時間、その子の分も、ふたり分のノート取りはじめたの。
 それで、その子の机の中に入れておいたの。

 そしたら暫くしたら、そのノートが、私の机の中に帰って来てたのね。
 なんだろう、もしかして、『ありがとう』とか書いてあるかも、だったらいいなって思って、
 家に帰ってドキドキしながら開いたら。
 
 すごいおっきい字で、『やめろ』って書いてあった・・・」  

『ノート取って入れておいた』の段階で、ちょっとどうだろそれ、って一瞬思ったので、
そんなにものすごく想定外ってほどではなかったけども。
ものすごい切ない話だと思った。なんか胸が詰まった。コメントすぐに出なかった。

その場で号泣しそうになったけど、親に不審に思われたくなくて必死でこらえたそう。
ラブの要素が入ってる自覚があったから親には話せなくて、
友だちに電話して話して、やっぱり大泣きしちゃったんだそう。

そして未だに、同窓会で会ってもその人とだけは話ができないのだそうです。
話しかけることができない。もう二十何年も経つのに。
その時間のどこかで、彼は少しずつ立ち直って今は普通に暮らしているらしいのだけど、
もともと無口な人だから、相手からも話しかけてはこないのだそう。

切ないお話なんだけど、ひどく胸を打たれた。だからこれも、書き残しておこうと思いました。
by michiko0604 | 2007-07-01 22:29 | 雑記 | Trackback