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DVD「ジャージの二人」 (+小説 長嶋有)

「アヒル鴨」のDVDで新作情報として紹介されてたとき、
こんな映画、誰が観るんだよ、と素で感じたものだったんですけど(すいません)、
公開中の評判は全く聞こえてこないまま、何故か原作読んだタイミングばっちりでレンタル開始。
借りちゃいましたよ、新作一泊二日300円で(笑 私にとっては「よっぽどのこと」。

笑っちゃうくらい原作どおりでした。淡々っていうかドぬるい(ぇ)。
これと言って何事もない。何もしない。だから何?と突っ込んだら負け。眠い。
でもその中で何度も声あげて笑ってしまったし、グッと来るところもあったし、
キュンと来るところもありました。頭悪い感想ですいません。

三度目の結婚もあんまりうまく行っていないカメラマンの父親と、
妻に恋人が出来てしまった無職の息子が、おんぼろ山荘で過ごす大人の夏休み。か?
1、部屋に虫が出ます  2、布団がじめっとしてます 3、トイレはくみとりです
4、風呂は五右衛門風呂です  5、携帯電話は使えません
・・・という状況で過ごす超スローライフ。誰も来ないよってか、ほんと誰が観るんだよ(笑
でも良かったです。どんなに情けなくても、沁みてくるものもある。

堺雅人さんはやっぱり素敵でした。いや、ひたすら情けなくはあるんだけど。
原作どおりとは言っても、原作は20代なので、個人的にちょっとズレは感じましたがね。
父親が51歳、と出たときに、なんだ自分、親世代のほうが近いんじゃん!とちょっとショック。
堺さんのことはギリギリ同世代に感じるというか、いや、それはさすがに図々しいんだけど、
まぁより強く感情移入する相手がブレるという点で、映画と原作の印象は別になりました。

お父さん役の鮎川誠さんという方は、知らない人だったけどこちらも素敵でしたね。
話し方が独特で、けっこうハマります。癖になる。
でも俳優さんじゃないのかな?どの演技も全部同じなので、最後には別の意味で笑っちゃった。
奥さんの水野美紀さんは、まぁ普通。特筆することはないけど、普通に原作どおり?
身勝手には違いないのだけど、ほんとうに好きになっちゃったんなら仕方ないんでしょうね。
原作でも、ほんとに相手が好きなんだなって伝わったから、胸が痛いくらいでした。
なんで結婚生活を続けているのか?みたいな突っ込みは、する気になれなかった。
理屈でなく理性でなく、そういうことってあるよね、という妙にリアルな納得。
だからこそラストは、薄く物悲しいとしても、ある意味すがすがしい。

細かいところで、ご近所の遠山さんちでご馳走になる、モロッコいんげんの天ぷら、
このシーンがカットにならなくて良かった。原作のこの場面、すごく好きでした。
私も初めてモロッコいんげんをもらったとき、なんだこりゃどうすりゃいいんだと悩みながら、
ほかの夏野菜と天ぷらにしてみたら、もうすごくすごく美味しくて感動した覚えがあるので。
採りたて揚げたてというのが、もちろん最高の調味料だったんでしょうけども。
欲を言えばトマト料理のシーンも出して欲しかった。焼いたり煮込んだり。

1時間半と短めの映画で、ちょうど良かった。ちゃんと観られてよかった。
好きなうちの映画です。

で、続けて長嶋有さんの作品を図書館で借りてます。
by michiko0604 | 2009-03-13 02:27 | 映画・TV | Trackback